つい1週間くらい前。
とある体験施設へ来ていたときのこと。
一人のインストラクターの方がいらっしゃったんですね。
年にして、70歳前後の方だと思うんですが。
その方がとっても、とっても個性的でした。
体験の場所は、淡路島。
家族で行っていたんです。
僕知らなかったんだけど、淡路島って瓦が有名らしいですね。
地場産業の1つらしいですね。
今回させてもらう体験も、その瓦をつくる粘土をつかったもので。
粘土で、鉛筆たてをつくるものでした。
っで、スタート。
初めの説明は、お兄さんだったんです。
受付をしてくれたこの施設の事務局みたいな感じの方。
だいたいの体験の流れを丁寧に教えてくださいました。
四角のカタチになった箱型の粘土。
これに、クシで絵を描いたり。
スタンプを押したり。
型抜きをつかって、好きな型を抜く。
(型抜きは、クッキーを作る時に使うものでした)
その抜いた型を粘土に貼り付ける。
そんなことをして、自分オリジナルの鉛筆たてをつくりましょう、
っと、そんな感じでした。
っで、娘もガンバってつくっていました。
ネコの型を抜いて。
抜いたネコの型を貼って。
トトロのはんこを押して。
串で絵を描いて、、、と、途中で投げ出すことなく取り組んでました。
僕もあんまり口を出さないようにしてたんです。
いつもだと、何をやってもつい出したくなるんだけど。
ガマンして。
娘の好きなようにさせないと、、と思ってね。
そしたら、なんと僕の代わりに口を出してくれる方がいらっしゃいました。
インストラクターのおばさんです。
「何をやりたいの?」
「型を抜きたいの?」
「この抜いた型は、こういう所に貼るとこんなふうに可愛いわよ」
どこからともなく現れて、色々アドバイスをくださりだしたんです。
「あら、このトトロちゃん、あんまりうまく写っていないわね」
娘はなんにも言っていないのに、トトロのはんこをぎゅうぎゅう押し付けて。
「他には、どんな絵を描きたいの?」
…あまりの始末に、
「いえ、まだ娘は決めていないみたいです」
つい、僕も横から言ってしまうほどで~~;
おばさんにしたら、良いのを作ってほしい。
良い思い出にしてもらいたい。
お世話を焼きたい。
そんなお気持ちが強かったんだと思うんです。
まぁ、それを娘はどうとったのかは?ですが、
僕にとっては、ある意味、思い出に残る体験となりました。
違う意味で、印象的な思い出になりました。
小規模店が真っ先にやっておきたいこと
われわれ小規模事業者が、やっておきたいこと。
そのトップクラスとして挙げたい。
その1つに、
「個性」をつくる。
これがあると、僕は考えているんですね。
語弊のある言い方かもしれませんが、
大手に比べて、商品力がネックになりがちな傾向のあるわれわれ小規模事業者。
そのウィークポイントを補うためにも、
- 個性をつくる
- 個性を出す
- 個性を発信する
この3つのキャラクタライズ化が必要だと思っているんです。
ボク自身の産直店での経験なんですが。
ある二人の農家さんの野菜を売っていたことがあるんです。
一人は、横下さんという業界では知る人はいないという超有名な有機農家。
書籍も出版しているし、マスコミからの取材も多い。
一方、今年、新規就農したばかりの白石さん。
この二人の農家さんが、つくる野菜はほぼ同じ。
ナス、きゅうり、ほうれん草、、人参などの野菜。。
値段でいえば、横下さんの野菜が少し高い。
1つの野菜が、だいたい200円。
白石さんは、170~180円くらい。
こんな状況下、お二人の野菜をお店の売り場に並べて売っていました。
すると、どんなことが起きていたと思います?
…どちらの方の野菜がよく売れたと思います?
圧倒的に、横下さん。超有名、有機農家の野菜です。
売り場にただ野菜を並べて売っているだけだと、
お客さまの8割~9割。
10人中、8人~9人は横下さん(有名農家)の野菜を買われていました。
一方、白石さんの野菜を買っていくお客さまは、圧倒的に少なかった。
ほんとお客さまが10人いたら、そのうちお一人が買ってくれるかどうか?
そんな世界でした。
ネームバリューは圧倒的に違う。
だけど、値段はあんまり変わらない。
そうなるとお客さまは、ネームバリューを優先させていたわけです。
安心ですからね。
…でも、僕はこれだと面白くない。
せっかく新規就農された、
農業デビューされた白石さんの野菜も買って欲しい。
白石さんのことを知ってほしい。
そう思って、いろいろと仕掛けていたわけです。
そんななか、一貫して効果があったのが、先ほどお伝えした、
「個性」をつくって、伝えるということだったんです。
ネームバリューがない商品を売る方法
- 白石さんはどういう人なのか?
- 元々は、どんなことをされていた人なのか?
- なんで、農業をやり始められたのか?
といったことを売り場で伝えるようにしました。
具体的には、
- もともとサラリーマンをしていたけど、家族との時間を大切にしたいと思った
- 50歳を過ぎていたけど、仕事を辞めた
- 農業を教えてもらえる学校で勉強した
- 今年からついに農業を始められた
といった白石さんに関する話を、売り場で伝えていったんですね。
もちろん、白石さんの写真も貼りましたよ。
…通常、ただ売り場に商品を並べておく。
それだけだと、目に視える理由で商品を選ばれてしまうんですね。
価格、量、大きさ、パッケージ、ネームバリュー、ブランド性といったような要素で、お客さまは商品を選ぶ。
でも、こういう状況っていうのは、小規模事業者には不利な部分でもあって。
白石さんにとっても、同様の状況でした。
だから、そのまわりのことをもっともっと伝えていきました。
冒頭の、あのインストラクターのおばさんの個性は強烈でした。
意図してつくっている。
発信している、わけではないのですが、
あれくらいのキャラクターがあれば、お客さまを惹きつける。
体験施設の個性=ウリになるくらいのものじゃないか?
つい、そんな風に思っていました。
「選ばれる理由」=「個性づくり」
われわれ小規模事業者にとって、頭に入れておきたい1つの教訓です。