ここでもよく書くように、僕は大阪の産直店で働いていました。
もう10年以上前になります。
そのお店でこんなことがありました。
僕のいたお店は、生産者さんから送っていただいた野菜が1番のウリでした。
いわゆる産直野菜ですね。
その産直の野菜を売るときに、1つネックになっていたことがあるんです。
同じカテゴリー商品での価格差です。
例えば、ナスを売るときに。
ある竹田さんという生産者さんは、5本入り100円で売られている。
一方で、そのお隣では、5本入り250円の山崎さんのナスもある。
- 5本入り100円
- 5本入り250円
価格差にして、2.5倍です。
この2つのナスを売場に並べて売る。
すると、一体どうなると思います??
ただ売場に並べて売るだけだと、、、そう、100円の竹田さんのナスばかりが売れました。
当然といえば当然ですよね。
価格が2倍以上違うんだから。。
そりゃ、安い価格を買うよね、と。
…だったら、ということで僕は手書きPOPを書いてみました。
よしっ、手書きPOPを付けてみた、、、結果は?
250円の山崎さんのナスをなんとか売ろうと、POPをつけてみたんです。
- 「山崎さんのナスは、どれだけ美味しいのか?」
- 「どれだけこだわって作られているのか?」
そういった商品のこだわりを手書きPOPに書いて、売場に置いてみた。
そしたら、少し売上に変化が表れました。
以前より、250円の山崎さんのナスが売れるようになった。
しかし、その変化は微々たるものでした。
僕の期待していたほどの数字じゃなかったです。
「どうして、なんだろう?」
当時、いろいろと思案してました。
「どうやったら、山崎さんのナス売れるんやろぅ、、、」って。
…今ならなんとなくその答えは分かります。
それは、竹田さんのナスも美味しいから。
美味しいのは、山崎さんだけじゃなく、100円の竹田さんのナスも美味しいから。
だから、どれだけ250円の山崎さんのナスを、
「これ、こんなに美味しいんです」
って、伝えてみてもお客さまには響きが弱かったんです。
どれだけ立派な手書きPOPをつけてみても、、、です。
実際、竹田さんのなすだって美味しい。
こだわって作られていたから。
そして売場でお客さまに訊かれたら、
「この竹田さんのナス、美味しいですよ」
って、僕は答えていましたから、、、。
「価格の妥当性」をどこで打ち出すか?
いまの話を聞いて、
「差別化の仕方が間違っていたんだ」
「味の違いじゃなくって、栽培法のこだわりを伝えれば、250円の正当性が伝わったのでは」
いろいろと感じられると思うんです。
ただ1つ言えるのは、、、、
100円と250円のナス。
味の違いを伝えるのは難しかった。
そして同様に、栽培法で差をつけるのもしんどかったです。
栽培法を伝えて、価格の妥当性を感じてもらう。
これって、ほんとハードルが高かったです。
「…ふーん」
と納得してくれるお客さまはいましたが、その何割の方が250円の高いナスを買ってくれたか?というと、、、かなり微妙でした。
栽培法や商品のこだわりも勿論伝えていたけれど。
それよりも、もっと違うところ。
そっちを打ち出していった方がお客さまの響きがいい、ポイントはありました。
商品内容にフォーカスした手書きPOPを書く。
こだわりを伝える。
販促物には欠かせないポイントです。
しかし一方で、商品内容だけで違いを出す。
選ばれていく。
これって、ハードルが高いです。
もっと違う部分を打ち出していくことで、お客さまに響く。
そんなポイントはありました。
たとえ隣に100円のナスが並んでいても、、、250円のナスが売れる。
そんな打ち出し方が。。