接客の印象は「待ちの姿勢」で変わる|お客さまがいない時間の4つのポイント

レジでお客にお金を渡す店員

接客というと、お客さまと会話をしている時間に目が向きがちです。

笑顔で声をかける。
商品の特徴をわかりやすく説明する。
お客さまが求めていることをくみ取る。

もちろん、どれも大切なことです。

ただ、お店の印象は、会話が始まる前からつくられています。

お客さまが入店した瞬間、スタッフがどのような表情で、何をしているのか。

そのときの「待ちの姿勢」によって、お店の印象は大きく変わります。

「待ちの姿勢」は、立って待つことではない

ここでいう「待ちの姿勢」とは、姿勢を正して、緊張しながらお客さまを待つことではありません。

お客さまがいない時間にも、

「いつ来店されても、気持ちよくお迎えできる状態になっているか」

ということです。

作業をしていても構いません。
スタッフ同士で会話をすることもあるでしょう。

大切なのは、お客さまの来店に気づき、自然に意識を向けられる状態をつくっておくことです。

入店した瞬間に感じる、お店の違い

例えば、初めて入るコンビニを想像してみてください。

お店に入ると、スタッフがこちらに顔を向け、

「いらっしゃいませ」

と声をかけてくれる。

大きな声や満面の笑顔でなくても、自分の来店に気づいてもらえたことが伝わります。

一方で、スタッフ同士の会話に夢中になり、こちらに気づいているのかどうかも分からない。
レジ台にもたれたまま、顔も上げない。

同じ商品を買うのであれば、どちらのお店へ行きたいと思うでしょうか。

商品の品ぞろえや価格は同じでも、入店した瞬間に受ける印象は大きく違います。
接客は、声をかけてから始まるのではありません。

お客さまがお店に入った、その瞬間から始まっています。

お客さまがいない時間に意識したい4つのポイント

では、「待ちの姿勢」を整えるために、どのようなことを意識すればよいのでしょうか。

難しい接客技術ではなく、日頃の小さな行動から見直すことができます。

1.表情と姿勢

レジ台やカウンターにもたれかかっていないか。
下を向いたまま、無表情になっていないか。

常に笑顔でいる必要はありません。

ただ、お客さまから見たときに、声をかけにくい雰囲気になっていないかは確認しておきたいところです。

2.入店に気づける位置と視線

品出しや事務作業に集中していると、お客さまの来店に気づかないことがあります。

入口や店内の様子が目に入る位置で作業する。
ときどき顔を上げて、店内を見る。

それだけでも、お客さまの存在に早く気づけるようになります。

3.作業を「迎える準備」にする

お客さまがいない時間は、何もしないで待つ時間ではありません。

商品の向きを整える。
売り場を清掃する。
不足している商品を補充する。
POPや価格表示が見やすいか確認する。

こうした作業も、お客さまを気持ちよく迎えるための準備です。

スタッフが売り場を整えている姿は、お店に活気や安心感を生み出します。

4.スタッフ同士で閉じた空気をつくらない

スタッフ同士のコミュニケーションは、仕事を進めるうえでも大切です。

一方で、会話に夢中になると、お客さまからは「自分たちだけで盛り上がっている」ように見えることがあります。

お客さまが入店されたら、一度顔を向ける。
会話や作業を区切って、あいさつをする。

この小さな切り替えが、お店の印象を変えます。

小さな仕草を、お客さまは見ている

私が産直店で働いていたときにも、お客さまはスタッフの行動をよく見ていると感じる出来事がありました。

レジの精算を終えたあと、スタッフが買い物かごをレジ台の横へ放るように置いていたことがあります。
スタッフにとっては、何気ない動作だったと思います。

しかし、その様子を見たお客さまから、

「かごをもう少し丁寧に扱った方がいいのでは」

と伝えていただきました。

商品説明や会話だけが、接客ではありません。

商品を扱う手つき。
売り場での歩き方。
お客さまがいないときの表情。

こうした小さな仕草の積み重ねが、お店全体の印象をつくっています。

注意するより、現場で基準を共有する

「もっと笑顔で」
「お客さまが来たら、きちんとあいさつをして」

そう注意するだけでは、人によって受け取り方が変わります。

そこで、一度お店のみなさんで話し合ってみてはいかがでしょうか。

  • お客さまが入店されたとき、最初に誰が気づくのか
  • 作業中は、どのようにあいさつをするのか
  • お客さまがいない時間に、何をしておくのか
  • お客さまから見て、声をかけやすい雰囲気になっているか

正解を上から決めるのではなく、自分たちのお店に合った行動を考えてみる。

そうすることで、「やらされる接客」ではなく、現場のみなさんが自分たちでつくる接客へ変わっていきます。

まずは、入店された瞬間を見直してみる

接客力を高めるために、いきなり高度な会話術を身につける必要はありません。

まずは、お客さまが入店された瞬間の自分たちの表情や動きを見直す。
そこから始められます。

「何だか感じのいいお店だな」
「また、このお店に来たいな」

そう感じていただけるお店は、会話が始まる前から、お客さまを迎える準備ができています。

今日、お客さまがいない時間に、自分たちがどのような姿で売り場に立っているか。

一度、現場のみなさんで確かめてみてはいかがでしょうか。


現場のみなさんが、自分たちで考え動けるお店へ

POPコミュニケーション合同会社では、接客や売り場改善を「決められたことを守るだけの取り組み」にせず、現場のみなさんが自分たちで気づき、小さな一歩を踏み出せる研修・講演を行っています。

店舗や組織の状況に合わせた研修について、お気軽にご相談ください。

ABOUT US
臼井 浩二POPコミュニケーション合同会社 代表
直売所・道の駅・小売店を中心に、商品の魅せ方や売場改善、価値の伝え方を通じて、現場スタッフや生産者が「やってみたい」と動き出す現場づくりを支援しています。 大阪・千里中央の産直店勤務時代には、社員2名・売場30坪で年商1.3億円を達成。現在は全国の自治体・JA・道の駅・直売所・小売チェーンなどで、研修・講演・現場支援を行っています。 臼井浩二のプロフィールを見る →