店舗経営者のあなた、店舗で働く従業員のあなた、そして販売の仕事に携わるあなたへ。
「もっとお客様に来てほしい」「もっと商品を買ってほしい」そう願う一方で、「どうすればお客様に選ばれる存在になれるのだろう?」と考えたことはありませんか?
今回の記事では、お客様から「求められる存在」、つまり「引っ張りだこ」になるための具体的な3つのステップをご紹介します。今回の話は、高知県立林業大学校で行われた「就職ガイダンスへ向けた『自己PR~自分の強みを知る方法』)」という講義の内容を、店舗経営や販売の仕事に応用したものです。
なぜ、「選ばれる」ことが重要なのか?
私たちは皆、誰かに頼られ、必要とされることに喜びを感じます。お店であれば、お客様がたくさん来てくれること。商品やサービスを求めてもらえることは、まさに「求められるお店」「求められる存在」である証拠です。これは、個人に置き換えても同じ。職場でお客様や上司、仲間に頼られることは、仕事の充実感や楽しさにつながります 。
しかし、お客様に選ばれ、引っ張りだこになるのは簡単なことではありません。では、どうすればそれが実現できるのでしょうか?
あなた自身を「商品」と捉えてみる
この問いを考えるにあたり、あなた自身を「商品」として考えてみましょう。お客様(就職活動で言えば企業)があなたという「商品」を「買いたい」と思うにはどうすれば良いでしょうか?あなたの強みや過去の経験を、お客様が興味を持つように伝えるにはどうすれば良いでしょうか?
これは、商品やサービスを販売する際に「お客様に商品を購入していただくために何を伝えればいいのか」を考えることと、本質的に同じです。商品の強みやサービスの強みをどう伝えるか、これが非常に重要になります 。
「選ばれる存在」になるための3つのステップ
では、具体的なステップを見ていきましょう。
ステップ1:自分を知る
まず最初にやるべきことは、「自分を知る」ことです 。
あなたが「商品」であるならば、その「商品」について詳しく知らなければ、お客様に魅力を伝えることはできません。例えば、商品のPOPを作成する際に、商品のことをよく知らなければ、どんなメッセージを書けばお客様に響くのかはわからないでしょう。商品のことを深く理解しているからこそ、「どんな人に向いているのか」「こんな使い方がある」といった具体的な提案ができるのです。
あなた自身に置き換えると、以下の点をリストアップしてみましょう。
- やりたいこと
- できること
- 大切にしたいこと
もし「やりたいこと」がすぐに見つからなくても大丈夫です。ヒントとして、「やっていて苦にならないこと」や「モチベーションが上がること」は何でしょうか?
例えば、人との会話が苦にならない、人の話を聞くのが好き、人のモチベーションを上げることに喜びを感じる、といったことは、あなたにとっての得意なこと、輝く部分である可能性が高いです。周りと比べる必要はありません。自分の中で「得意だな」「楽しいな」と感じることを大切にしてみましょう。
ステップ2:相手を知る
自分を知ることができたら、次に「相手を知る」ことが重要です。
販売の仕事であれば、「お客様を知る」ということになります。お客様がどんなことに困っていて、何を求めているのかを深く理解することが不可欠です。
就職活動で企業を選ぶ場合も同じです。その企業が何を大切にしていて、何に困っていて、何を求めているのかを知ることで、自分がどのように貢献できるかを考えることができます。お客様は、困っていることや不足している部分を解決してくれる商品やサービスを求めているのです。
「お客様が困っていることや求めていることは何か?」これは非常に基本的なことですが、ここを飛ばして「どうすれば売れるだろう?」と考えても、なかなかうまくいきません。お客様が抱える課題や要望を理解した上で、あなたの店舗や商品、サービスがどのようにそれらを解決できるのかを考えることが、お客様に選ばれるための順序となります。
ステップ3:接点を見つけ、勝ち筋を作る
ステップ1で自分を、ステップ2で相手を知ることができました。最後のステップは、この「自分」と「相手」の接点を見つけ、そこに「説得力のあるシナリオ」、つまり「勝ち筋」を作ることです。
あなたの強みや個性、得意なことで、相手の困っていることや求めていることをどう埋めていくか、どう役に立てるか、というシナリオを考えるのです。
ここで重要なのが「強み」の定義です。強みとは、単なる経験や個性ではありません。
強み = 人の役に立つ個性・性格・特徴・経験
例えば、あなたが学生時代に6年間バレー部のキャプテンをしていたとします。これは単なる「事実」や「経験」であり、まだ「強み」ではありません。この経験が「お客様(相手)にとってどう役に立つのか」を伝えることができて初めて、それは強みになります。
「この商品はビタミンCが豊富です」という「特徴」だけでは、お客様には響きにくいかもしれません。そこで、「だから、どう役に立つのか?」という視点で考えてみましょう。
事例:
- 「6年間バレー部のキャプテンをしていました。
だから…、チームワークを大切にする御社で、周囲の能力を引き出し、チーム全体の成果に貢献できます。」 - 「このキウイにはビタミンCが豊富に含まれています。
だから…、美容と健康を気にされるお客様に、手軽に栄養を補給し、毎日を元気に過ごしていただくことができます。」
このように、「特徴」の後に「だから」を使い、それがお客様にとってどう役立つのかを具体的に考えていくことで、あなた自身の、あるいはあなたの商品やサービスの「強み」が明確になり、説得力のあるシナリオが生まれます。
まとめ
お客様に「選ばれる存在」「引っ張りだこ」になるためには、以下の3つのステップが不可欠です。
- 自分を知る: 自分の「できること」「やりたいこと」「大切にしたいこと」、そして「苦にならないこと」「モチベーションが上がること」を明確にする。
- 相手を知る: お客様が何を求めていて、何に困っているのかを深く理解する。
- 接点を見つけ、勝ち筋を作る: 自分の強みや特徴が、どのように相手の役に立つのか、そのシナリオを具体的に考える。「だから」という言葉を使って、お客様への貢献を明確に伝える。
これらのステップを実践することで、あなたはきっとお客様から「選ばれる」、そして「求められる」存在になれるはずです。ぜひ今日から取り組んでみてください。
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個性や経験から強みを発掘する方法。あなたの強みをお客さまが求める勝ち筋のつくりかた。お客さまから選ばれる存在になる方法を3つのステップをお聞きいただけます。