安売りのしっぺ返し

今から10年以上前、
大阪の産直店時代の話です。

客数が、徐々に減少。
売上も、予算を割る日が連続。
つい1カ月前までは順調に推移していた売上が伸び悩み…

気が付いたときには、顔なじみの固定客が激減。
新規の方ばかりが目立つように。

その原因は、どう考えても

僕の品揃えミスにありました。

しかし、僕ははじめのうち、そのミスに全く気が付かなかったのです。

というか、むしろ
「売上が伸びている」
完全に勘違いを起こしていました。

僕が30歳の頃、働いていた産直店は、
生産者さんから直接仕入れた野菜や果物がウリでした。
いわゆる「産直」といわれる形態です。

これを求めて、お客さまは来店。
そのついで買いとして、他の商品。
お菓子であったり、食品などを購入してくださっていたんです。

ただ、この現状の一方で、
すべて生産者さんから送られる野菜で賄いきれない部分もありました。
いわゆる産直と言われる野菜は、仕入れが不安定だったんです。

少し余談になるのですが。

僕が働いていたお店は、高知県のアンテナショップ的存在で。
販売商品の90%以上が高知県のモノ。
それがウリのお店でもあり、仕入れる野菜も例外じゃなく。
なるべく高知県の生産者さんがつくられたお野菜。

ここに特化していたんです。

ただ、そうなると、野菜には旬っていうものがあって、
季節ごとに獲れる野菜が偏ってくるんです。

例えば、冬にキュウリが入荷できない。
夏にレタスが販売できない。
そんなお店にとって不都合が起きたんです。
なので、生産者さんのお野菜だけでなく、一部は卸売市場からも仕入れていたんです。

そんな、ある時のこと…

市場の野菜の仕入れが極端に増えた時期があったんです。

普段なら売場には、9:1の割合で生産者の野菜が多く並んでたのに、
6:4くらいにまで市場の野菜の仕入れが増加。

理由は、単純、相場が安くなったからです。
仕入れ値が安いので売価を安くしても、十分利益がとれた。

「低価格にすると、量が売れる」

この感覚に僕自身もハマってしまいました。
よく「麻薬」にも喩えられる安売りの快感かもしれません。

「売れてるやん」

ヘンな錯覚に陥ってました。

しかし、この安売りの副作用は時間をおいてやって来ました。
後日、この安売りのしっぺ返しを食らう事になります。

客離れ、リピーターの失客です。

気が付いたときには、顔馴染みの方が途絶えました。

それに反比例して、普段見かけない値段重視のお客さまが急増。
いわゆる、1回きりのお客さまです。

お店のウリである、生産者さんから仕入れた野菜が売れない。
店内で、お客さまとの会話がない。
売上は、下がる一方。
まったくお店の個性を生かし切れていませんでした。

結果、

目の前の売上に、目が眩んだツケでした。

その当時の経験から1つ学んだ事。
品揃え一つをとっても、

  • 客離れが起きる、品揃え
  • お客を引き寄せる、品揃え

この2つがあると思っています。

「今、売れてるからいいや」

自社の個性(ウリ)を無視してお店を走らせてしまうと、
後で取り返しがつかない事になる。

あの時、陰鬱な気持ちで売場に立っていた時のことは、
今でも忘れられません。

手書きPOPの書き方極意

ABOUT著者プロフィール

1974年、大阪府茨木市生まれ。年間500名を超える受講者への手書きPOPセミナー講師。正社員わずか2名、売場面積30坪の小さな産直店で、ほぼゼロの広告宣伝費のなか年商1億3千万円。アンテナショップ出店を検討する自治体からの視察が殺到。パート募集をすれば「娘を働かせたい」とお客が順番待ち。こんな一風変わったお店での経験が今の仕事の原点。小規模店の販促コンサルも行っている。